炭やきは地球を救う!

炭やきは地球を救う!

新年あけましておめでとうございます!

初投稿になります、協力隊 中井です。


去年の6月に牟岐に来てからの半年間はあっという間でした。
新しい人との出会いが沢山あり、ほんの一面ですが牟岐の文化や食に触れることができ、感動することばかりでした。
今年も、牟岐の魅力をたくさん見つけて、もっと伝えていけるようになりたいです。
伝えるだけでなく、新たな魅力も生み出していきます。
牟岐の方をはじめとして、多くの方にお世話になると思いますが、今年もよろしくお願い致します。

新年早々とても大きなタイトルですが、これは自分が最近読んだ本で元農林水産省林業試験場木炭研究室長の杉浦 銀治さんという方が書いた著書のタイトルです。

この方、10年の役職を終えた退官後も木炭の研究と普及に努め、「炭やきは地球を救う」を提唱して国内外で炭やき指南の旅を続けており、現代の木炭需要と再評価に多大に貢献されている方のようです。

炭焼き

そもそも何故今このような事に関心をもち記事を書いているのかというのは、自分の中で去年の一大トピックであった西又地域で修復され現在も継続的に備長炭をつくっている炭窯が復活したこと、他の協力隊と共に自分も微力ながら関わりをもっている事がきっかけです。

そしてこの先、町内外で炭というものについて自分が人に何かを伝えようとする時や活用方法を考える際に、炭について現在に至るまで解明されている機能や性能、そのものの価値をまず自分なりに”知る”ことから始める必要があると感じていたので本を読み、実際にブランドとして地位をもつ紀州備長炭というものを使用してみて、年末に生産現場へ足を運び、市場の実際について話を聞いたりしてきました。ここで全てを書き記すと長くなるので省略し、今感じていること、調べてみたことを自分の中で印象に残ったテーマ「生活の質と炭」に絞って記録しておきたいと思います。

Quality of Life(生活の質)

Quality of Lifeとは人生の質、又は生活の質と訳され、人がどれだけ人間らしい生活や自分らしい生活を送り、人生に幸福を見出しているか、ということを尺度としてとらえる概念で、あらゆる分野で広く使われる用語。

国民総生産や国内総生産と相容れない成長指標で、東日本大震災の際に多大な義援金を送り過去幾多にわたって日本への支援を続けているブータン王国が人々の幸福の実現を目指し国策として向上を掲げた新たな指標、国民総幸福量(GNH)と通じます。

引用:ブータン~国民総幸福量(GNH)を尊重する国

自分も生きていく上で常に意識しているこの”生活の質”という言葉に、<心身の健康と快適な生活環境>といった要素が含まれていますが、これを向上し支えてきたものの一つが炭焼き文化であって、このモノの需要は、人が満たそうとしている基本的欲求が”自身の健康と、身の回りの健やかな生活環境”であって、より健やかでより豊かな人生を送りたいという願いと比例しているんじゃないかと感じ「生活の質と炭」なんです。

田辺市で会った炭焼き職人の最初の問いかけがとてもシンプルで今でも印象に残っています。

「薪や炭を山から獲得し、活用して人々が皆元気だった古き時代から、ガスや電気、つまり石油や原子力等の化石燃料に切り変え高度経済成長を遂げたと言われるこの時代に、人は炭を手にした先に何を求めているのか?」

この問いに対して「皮肉なことに昔はごくごく当たり前だった自身の体とあらゆる環境の健康を求めている。」と自ら答えていた。

それを聞いて、まさに悲劇だと思った。

高度成長を遂げたのは経済とテクノロジーに限っていて、先進国と呼ばれる場所に住む自分達はあたかも人が進化し続けてきたかのような錯覚に陥ってしまっていて、人間の身体機能は100年前に比べて相当退化が進んでるんじゃないかと考えさせられた。

少し話が飛躍したけど炭の需要と消費者のニーズを掘り下げていくと、健全な環境と体の健やかさというものが重要なキーワードとして取り上げていいようです。

実際に市場が空気や水の”清浄さ”や、食にまつわる”本物”とやらを追い求め炭産業が動いていることは皆さんもイメージできると思います。

炭火焼の美味しさはもちろん、空気や水の清浄効果や脱臭作用に関してはよく耳にする話しで、昔の人からしたら当たり前にあった事だと思うので、ここではあまり知られていない炭の効果を食と医の視点から新たに見つめ直し、おさらいしたことを書き残したいと思います。

医食同源


食物が原料の炭と言われる”黒焼き”って聞いたことあります?

自分は以前知人から鉄火味噌というゴボウやレンコンと生姜等の根菜類を細かくみじん切りにしてお味噌と一緒に長時間煎り続けて黒焼き粉末状態に仕上げたものをお米にふりかけのようにまぶし頂いたことがあります。
甘味、辛味、苦味などが濃縮調和した絶妙な感じでそれはそれは美味しく結果ご飯も唾液もたくさんおかわりし腹七分目で抑えれなかった記憶があります。
どうやらこの食物の炭(黒焼き)もウバメガシを焼いた備長炭と同等の働きがあると言われているんです。

備長炭の炭にはカルシウム、カリウム、鉄、マンガンなどのアルカリのミネラルがバランスよく含まれ、微細な孔との相乗効果で水道水に含まれる塩素やトリハロメタン等の有害物質を解毒することができると言われています。食物も黒焼きにすることでミネラルが濃縮し、陰性なタンパク質や脂肪が取り除かれて陽性の炭水化物が残り、その微細な孔とともに化学物質等の汚れを吸着し排毒するものとなっているようです。

農業の土づくりにも活用されている炭をすみかとする微生物は、農薬や殺虫剤などの化学物質、水銀やカドミウムなどの有害重金属などを分解する働きをするらしいので、炭は土壌改良や汚水処理に広く利用されています。

人間の腸も土壌と同じで、微生物が百兆個もすんでいるとてわれており、いわば人間の命のもとの赤血球をつくる土台と言われてます。炭は腸内の微生物をそのミネラルで活性化し、腸内環境を改善する働きが期待できるとのこと。とくに梅干しの黒焼きは天然の抗生物質として働くといわれ、悪玉菌だけを殺菌し善玉菌を活性化するので、昔から下痢や腹痛、食中毒の特効薬として使われていたようです。

他にも湿気を除き、湿度を調節する働きがあるため、昔からタンス、床下などに入れて天然の除湿剤や防腐剤として使われていました。体でいうとアレルギーや花粉症は漢方では水毒といわれており、黒焼きはこの水毒を取り除く効果が期待できるとのこと。黒焼きの玄米のスープはとくにこの効果が強く、アレルギーの症状を緩和してくれるようです。また、水気は体の冷えをつくります。冷えがあると血液の流れが悪くなり、痛みが発生し、さらに悪化すると硬くなる病気(リウマチ、動脈硬化、脳梗塞、心筋梗塞、癌など)をつくると言われ、水が冷えると氷になるように、すべての物質は冷えると硬くなる性質があるようです。黒煎り玄米スープを飲むと不思議と痛みがとれ、難病という病気に効果があるのも黒焼きの極み、温める働きがあるからだと言われています。

黒焼きは中国医学にも利用されていて、古代中国で医師の最高位とされる「食医」は、薬としての食の重要性を常に指摘していて、医や薬が食と”同源”という思想のもと王の食事の調理・管理を行っていたのだとか。

ここまではほんの一端ですが、代謝機能が上がったりホルモンバランスを整えたり電磁波をカットしたり、どこまで万能なんだと疑ってしまうぐらい炭のことを調べていくと意外な驚く情報がたくさん出てきます。

知ろうとする楽しみ方

では、炭の事実と実際はどうなんだろう?

まずは自然な感覚に気づくこと。見たままの実際の感覚を観察し気づくことが大切だと思うので、
食物の炭=黒焼きを実際につくってみた。

(映像は同じ協力隊 小林大介くん提供。感謝)
原料は、農に関心をもつ地域の若手田んぼメンバーが笹見地区の農地を一部お借りして地域のサポートのもと去年収穫したお米をつかわせていただきました。

籾つき玄米をストーブの上で乾煎りすること3時間、最後にコンロで火力を徐々に上げて深煎りにするまで約2時間!最初はストーブの前で一枚一枚服を脱ぎ捨て半袖一枚、こんがり焼けていく匂いはするけどこれは何時までかかるんだろうといった不安な気持ちを乗り越え素手で暑さを我慢しながら頑張っって木べらを回し続けていましたが途中耐えられなくなって、真っ赤になった手に軍手を装着し直し黒焼き状態に仕上げました。

炭窯から炭を出す作業の時もそうでしたが、ダイナミックな手仕事ほど火や自然の力強さ(ただの不注意。)を体感できるので、これ以上この力には逆らってはいけないというキャパシティーを肌身で感じることができます。

後日、これをミルで挽いてドリップコーヒーのように出して(これをノンカフェイン玄米コーヒーという)地域活性化センター内で皆んなと一緒に試飲し合って出てきた感想は、意外とコヒーみたい!まあまあ濃くてノンカフェインのコーヒーってこんなんなんかな?とか、お米を焦がした時の風味やなとか、もういらん(残念!)など味わい方は人それぞれで面白かったです。

効能については数回飲んでみただけでは何もわからないので、継続して人体実験を行いたいと思います!興味のある方は気軽に活性化センターまで足を運んでください。中井に声を掛けていただいたら一杯挽きたてを出させて頂きます!

火のある暮らし

“炭の質”がどういったものなのか、売れる炭がどういったものなのかなんて結局のところ説明つきません。只、いま自分がこのモノについて”知ろう”と思った時、炭は市場の経済的な価値だけでは計れない各地域・各家庭にある馴染みのお味噌汁やおにぎりのような、日常により近い文化的所産で「私の無形文化財」みたいに個々の在り方や”生活の質”に溶けこんで、健やかな人間らしい生活に還っていく過程の中にこのようなモノがある気がしています。
元気が唯一のパロメーター!

日本の山に原木がないといった大きな課題も抱えてますが、森を本来の姿に再生しながら日本産の炭需要が地域でさらに広がった時、人が人間らしく生き、本当に地球が救われるのかもしれません。

世の中には知らないこと、分からないことはたくさんあります。

だから自分なりに知ろうとする働きに終わりはないと思うんです。

田舎では日常的に火を焚いている場所がいくつもあるので、このエネルギーを活用し暖の上で塩を炊いたり、お茶をつくったりできる場ができるといいなと思う。(都市ガスより高いし)
古い書物に黒焼療法五百種というものがあるらしいので、植物好きの自分は医・食の視点からここらへんを探求していきたいと思います!
次はクチナシの実と柚子の種を黒焼にするのと、鉄火味噌を今度は自分でつくってみよう。

みなさんも一緒にどうですか?火のある生活。

暮らしを自給することを同じように望む人たちと、実践的に身につけていきたい。
できればもっと開かれた場の中でつくっていきたいし、つくり方を一緒に学んでいきたい。

もちろんつくられた備長炭の火を使って地域の二次産業の加工場をつくり、お金が地域内で循環し炭焼き文化が支えられ健康な森に戻っていくことも理想。

生きる事と直結する営みと、生きるために必要なものを生みだす仕事。

生活と仕事のつながりがはっきり見えるような暮らしを自分たちの地域で行うということは、山や水、草や木々たちの畑を守ることにもつながると感じている。

分かりきることなんか到底できないことを知ったつもりにならず、楽しんで知ろうとする姿勢をライフスタイルに。やっていて健康になる楽しみ方を。

自分について、社会について、あまりに知らない私たちが、何かを通して人間について知ろうとする、地球について知ろうとする、そして、人間らしく生きようとする。

そんな中に炭というモノが共にあるのかなと。

田辺と牟岐で出会った炭焼き職人と、その場に関わる人達が立ち上がる火の先に地域の子供たちの未来を見据え、人間らしく輝いて生きているのと同じように。

 

西又の備長炭製炭場 位置情報

記事を書いた人

中井貴彬
中井貴彬
熊本出身、火の国育ち。
2016年6月に大阪から家族4人で牟岐町へ移住、前職は造園業に務め
現在、地域おこし協力隊として、『小さきものは、みな美し』をモットーに
トランジションサポート活動中。
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