牟岐町で集落支援員が活動を始めました!

牟岐町で集落支援員が活動を始めました!

今年の4月から牟岐町でも『集落支援員』制度を導入し、現在2名の支援員が活動を行っています。そこで、彼らの活動を取材してみることにしました。

町の中からの目線を活かすのが目的

牟岐町では今回初めて開始された『集落支援員』制度。このワードを聞き慣れない方もいらっしゃると思います。

集落支援員とはどんな人なんでしょうか?

集落支援員

(総務省-集落支援員について より)
総務省|地域力の創造・地方の再生>集落支援員

つまり、「地域おこし協力隊の町民バージョン」と思ってもらえればわかりやすいでしょうか。地域おこし協力隊が町の外からやって来た人の目線で活動するのに対し、集落支援員は昔から住んでいる人の目線で活動することを意図して作られた制度なんですね。なお仕事内容は「集落の巡回、状況把握など」だと記載してありますが、実際の活動内容は地域や町によって多岐にわたっています。ちなみに徳島県では、既に上勝町や佐那河内村などで集落支援員が活躍しています。

牟岐町初の集落支援員のお2人

平成28年4月から牟岐町では、選考を経て2人の集落支援員を任命しました。

ちょうどこの日は牟岐町地域活性化センター内の六角舎事務所に来て打合せをしています。

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向かって左側の方が宮本享(みやもととおる)さん。真ん中の方が眞崎哲幸(まざきのりゆき)さんです。この時はみんなでドローンや農業の話で小林さんと盛り上がっていたところでした。

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一人目の宮本さんは牟岐町の大谷在住で、実は六角舎記事にも登場したことのある方なんです。

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そう、TSSCファクトリーでサーフボードに図柄を入れていた方こそ、みーやんこと宮本さんです。

サーフボードの製造工場 TSSC FACTORY へ潜入した!|六角舎(ヘキシャ)

また、ゆず狩りでもお会いしましたね。

柚子を頂いて思った。お隣さんとの距離感が近いからこそ生まれる良い循環って大事と。|六角舎(ヘキシャ)
”30数年、サーフィン業界に携わり多くのイベントやコンテストに参加した経験を基に、牟岐町の自然や文化を生かした地域づくりを盛り上げたい”との抱負から、集落支援員を志してくれた宮本さん。僕らのような若い人達とも普段から協力していただいており、「町で何かやりたい!」という人への橋渡しをしてくれる方なんです。

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二人目の眞崎さんは牟岐町の東在住で、僕自身は集落支援員になられてから初めてお会いしました。

無線や通信関係の仕事や日本郵便での勤務経験がある眞崎さんは、なんと仕事の中で牟岐の”全域”を回っていたとのこと。「牟岐のどこへ行っても顔見知りなので、気兼ねなくコンタクトを取れる」ということで、集落支援員としてめちゃくちゃ強力な存在になっています。”仕事で牟岐の町中を回っていたとき、人口減少や空き家の問題を切に実感した。牟岐在住の人間としての目線を活かして、活性化に取り組みたい”という抱負を持ち、集落支援員として立ち上がってくれました。

お二人ともとても気さくで良い人で、地域おこし協力隊の僕らも非常に助かってます。

 

さっそく聞き取り調査についていくことに

午後からは集落の聞き取り・空き家調査へ出かけるとのことでしたので、僕も同行することに。現在、牟岐町では移住・空き家問題の取り組みを進めていこうとしていまして、集落支援員は空き家状況把握・集落からの意見要望聞き取りをするべく回っている最中なのです。

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牟岐町地域活性化センターから車に乗ること約5分。辺川の喜来という地区までやってきました。

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一軒の農家さんの家に到着。

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お邪魔したのは井上正雄さん宅です。井上さんは活性化センターにもよく顔を出してくれる方です。家業の農業の他、わな狩猟などでも活躍されてますね。

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大きな白い飼い犬も出迎えてくれました。

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なぜか犬ってカメラを向けるとめっちゃ近寄って来る気がします。

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牟岐町では、至る所で素晴らしい景色を堪能することができるのですが、ここ井上さん宅からは…

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おお。ちょうどいい感じに五剣山が見えました。快晴の青空にくっきりと映えます。

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皆、しばし周辺の景色に感動。

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何気ない風景かもしれないですが、こんなん都会じゃ味わえんよなーと実感します。

調査というよりは、ざっくばらんな話を

その後、玄関横の部屋へお招きいただきました。

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ここにはいつも誰かしらがやって来ては、世間話をしていくそうです。「あらいらっしゃい、まあ掛けてくださいな」な感じでノータイムに溶け込める、そんなリラックスした空間ですね。

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人だけでなく犬もリラックス。

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腰を下ろすと、「(集落支援員の)仕事はどうじぇ〜?」ざっくばらんな感じで話が始まります。

「町はとにかく空き家をなんとかしたがっとるんよー」

「空き家調査は二人で東西に別れて手分けして回っとるけど、住めそうな・貸してくれそうな家は100件見てもほんの数件やね〜」

「ほの数件も、中の荷物出したり手直しせんとすぐには住めんかな〜」

「家も人が住まんようなったら、じき傷んでくるけんな」

「床開けたら、シロアリでボロボロやとか」

「よそからの移住希望は庭付き古民家とかよう言うけど、実際維持管理が大変やで」

「聞き取りも、顔知っとる間柄やったらええけど、お互い知らんかったら『何しに来たのか?』警戒されるわなー」

「牟岐いうても何十年と暮らしとっても行ったことない地域もあるもんな〜」

「あと多いケースが、誰も居らんかったり、連絡つかんかったりやな」

「辺川でも、この辺りにええ家ないけ〜?」

こんな感じに話は進んでいきます。

いやあ、よそから来た知らん人よりも、昔から在住している人の方が情報のやり取りは圧倒的スムーズ・スピーディに進みます。

住民目線で意見のやり取りをして、町内や行政へ反映させる。これぞ集落支援員の持つ最大の利点ではないでしょうか。

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いつしか話は、町の活性化や農業の話へ。

「農業で食っていくには、作物作って用意されたところに卸すんじゃ食っていけんで」

「若い人が子ども育てて食っていくために、流通システムそのものから何とかしていかんと」

「便利ではあるけど、何千万とか億とかかけて設備投資に突っ込むんもこれからの時代には合わんな〜」

「牟岐の農家だって、儲ける以前に自分の年金使って機械や消耗品に当てとる思うよ」

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「農業も昔は、海部郡の野菜が関西圏のシェアの上位におることも珍しくなかったんやけどな」

「今でも徳島の米・野菜はごついで。関西や東京のマルシェ持ってったらようけ買うてくみたいよ」

「生産から販売までこなす、いわゆる六次産業化やな」

うーん。生業としての農業には、解決すべき課題がたくさんあるんだなーと実感。

農業も漁業も「作ったり獲ったりした食料を売る」のが収入の手段ですから、安定してたくさん売れるのが一番良いですよね。でもこれまでの仕組みでは暮らしの糧を得るのが難しいレベルまでなってきています。だから皆、産地直送のマーケット対面販売や、小口の売買契約などの方法で「いかにお金にするか」を模索していっているのが、今の時代の流れだと感じます。

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「ほれから、牟岐でも鳥獣害がごついけんね」

「露地物は一晩で食われてパーになることもざらやな」

「でも最近、ハンターの勢いがすごいね。特に若い人ら」

「ほんまよ、あんだけ居ったシカも段々見かけんようになってきた」

「ほうやって一つづつ解決していかんとなあ。異常気象とかもこれから来るし」

いつの間にかやって来た別の農家のおっちゃんも加わり、話は勢いづいていきます。

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「空き家もほんま多いな。でも自分の家を人に貸すっていう気持ちにはいきなりならんやろな」

「外からの人もほうやけど、牟岐の人が『仕事がないから阿南とかへ行って、そのまま拠点構えてしまって、よう帰ってこん』っていうパターンを何とか出来んかな」

「防災もな、津波から逃げた後に避難生活する場所が牟岐にはないやろ。あれかなり深刻やと思うんよ」

「(町民)体育館だけではとても足らんな。何日間か寝泊まりできる場所がないとあかんわ」

話は膨らんで防災のことも。この間熊本で起こった地震は、今も1万人近くの人が避難生活しているとのニュースが流れたばかり。牟岐も地震、津波の話は、他人事ではないです。

町を盛り上げるのはやっぱり町の人だと実感

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色々な話を聞いていて、気がつけば夕方に。さて帰るか〜となりましたが、まだまだ話は尽きない感じでしたね。

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農業の話も出てきたことで、あらためて畑や庭を拝見。これからはサツキの花が咲くみたいです。

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ビニールハウスもたくさん並んでますね。このとき初めて知ったのですが、ビニール自体は2〜3年ほどで替えんといけないそうです。

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これは野菜?ですが、この間までは別のハウスでたくさんの稲が育苗されていました。

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ちょうど田植えが済み、これからは田んぼの季節ですね。

こういった景色も人の手があってこそだと、話の後だと尚更思います。

 

ということで、集落支援員の活動を取材してみました。強く実感したのは「困ったことないけ?町をどないか盛り上げんけ?」と話をするのも、昔から顔を見知った町の住人自身が行うと、めちゃくちゃ話が進みやすいなということ。

地域おこし協力隊などのよそから来た人間は、話以前に「この人はどういう人なのか?」を判断されることからスタートするし、「何か色々助けに来てくれる人なんやな」と誤解・断定されてしまうこともあり得ます。そこへ行くと集落支援員として活躍してくれるお二人の存在は、物凄くありがたいですね。

これからも町内で色々な活動を展開していく予定ですので、皆さんお気軽にお声がけください!