カッコよく使い良い道具と、それを使いこなす人達(山・里編)

カッコよく使い良い道具と、それを使いこなす人達(山・里編)

草木の生い茂る牟岐の山・里での暮らしでは、都会では使われない道具が活躍する。そして、上手く使うための”技術”も。地下足袋を履き、鉈や鎌を振るう人達の姿を追う。

 

この1年で、鉈や鎌を使うのが当たり前になった

僕は昨年の9月に牟岐に来るまで、日常生活で鉈、鎌、斧などを使う機会は片手で数えるくらいしかなかった。ましてや刈払機、チェーンソーなど、一般人の扱えるものではないというイメージだった。しかし今では、事あるごとにこれらの道具を手にしている。例えば…

職場の草刈り。
山の取材ついでの登山道整備。
足湯開催時の薪の確保。
秘境の沢での遊び場作り。
出羽島の環境整備。
稲の収穫。
町内会での避難路整備。

おお。思い返してみると、月1回以上の頻度で使っている。そしていつしか僕はこんな道具を使うのにハマった。最初は下手くそでも何度もやってれば上手くなってさらに楽しくなる。ホームセンターの道具コーナーに立ち寄ると小1時間過ぎてしまう。今回はそんな山の道具の一部を、それを使いこなす人達とともに紹介してみることにした。

 

山のシーズンを前に、今年も登山道整備へ

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11月某日。山登りシーズンを前に、登山道の整備隊が旧鬼ヶ岩屋温泉に集まった。牟岐へ山登り、ハイキングに訪れる人々の為、夏の間に茂った草木・大雨で崩れた土砂などを取り除くのが今日の目的である。

ちなみに、昨年の記事ではそれぞれの山を詳しく紹介しているのでそちらも是非。

そこから何が見える? 牟岐の五剣山の眺め|六角舎(ヘキシャ)
鬼の住む山、鬼ヶ岩屋|六角舎(ヘキシャ)

 

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登山口へ向かう前に、使う道具をちらりと拝見。こちらは、柄が1m以上もある長い鉈(なた)。

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こちらは、ガソリンエンジンで刃を回転させる機械、刈払機。

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各々が道具を手に持ち、あるいは担ぎ、いざ山の整備へ向かう。

人自身のパワーを最大限に活かす道具

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登山口入り口にて、自前の”曲がり鉈”を振るうのは観光ボランティアガイド会長庄野さん。慣れた様子で斜面に生えた草をザシュザシュと刈っていく。この鉈は軽くて使いやすく、先が丸まっているので引く力を活かしやすい。また収納時も革袋を突き破らないので、携帯にもってこいなのだ。

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とにかく丁寧に作業を進めていく、マメな庄野さん。対する僕は大雑把な性格なので、見習わんとな〜と思ってしまう。

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少し前を歩く、観光ボランティアガイドの高松さん。彼の手にはあの長い鉈が。

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通称”なぐり鎌”あるいは”なぐり鉈”と呼ばれる道具は、離れた位置の草木を刈り取るのに便利な道具。足元や高所に生えるシダ類を一気にガサッガサッと刈る、邪魔な枝をスパっと落とす、またホッケーのスティックの要領で落ち葉や小石などを薙ぎ払うことも出来る。リーチが長いので慣れないと使いづらいが、慣れればごく軽い力で作業可能。自在な動きでテンポよく整備していく高松さんの後には、きれいな道が出来ている。

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徳島新聞の記者、谷さんも整備に同行。カッコいい道具と、それを使いこなすカッコいい人はそれだけで素晴らしい存在だが、それを大勢に”伝える”ことで素晴らしさを何倍にも変えてくれる、貴重な人だ。

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隊列の中間で奮闘するのは、むぎ青空プロジェクト(MAP)の井上さん(通称デコポンさん)。草木を薙ぎつつ、転石をどけたり、前を歩く刈払機部隊の刈った草(大量にある)をゴソッと抱えて放ったりと、汗みずくになって整備している。

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手には、鉈。この最もオーソドックスな形状の鉈は、鋭い刃で切る・削る、刀身の厚さ・重さを利用して木や竹を割るなど幅広く使える。また、かさばらないので両手を使いたい時にも都合がいい。「刃物市の特売で買った」というその鉈は、自然を相手に仕事をするデコさんにとって、なくてはならない道具の一つ。

 

ほんの一部だが、どれも人間の持つ力を引出し、使いこなせば驚くほどの作業をこなせる道具だ。昔から現在に至るまで使われているのもうなずける。

 

人と一体化して威力を発揮する機械

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先へ進むと、チェーンソーで伐られた切り株が。これは今回の整備とは別に、山仕事の方が最近伐ったものらしい。めちゃくちゃ綺麗な断面に、おもわず見とれる。

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大きな木だが、通行や景観の邪魔にならないように切り分けて処置してある。やはりチェーンソーの圧倒的なパワー、速さは魅力的。僕も使い方を覚えたくて練習中なのだが「高速回転する刃」「めちゃくちゃ重い木が倒れてくる」という危険性を持つ道具なので、安全第一で無理なく触ることにしている。

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ちなみに昨年の登山道整備では、チェーンソーが大活躍した。この時見事に伐っていたのは今回も来てくれている建設課の尾崎さん。こんな斜めの足場でもチェーンソー本体をガッチリ安定させて、落としたい方向に伐っていた。

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さて、今回の整備隊の最前列でも役場建設課の皆さんが活躍。

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グランドや畑に生える草を刈るのによく使う機械、”刈払機”による整備を行っている。でも単なる「草刈り」とはワケが違う。でこぼこの斜面に立ち、岩や木の根、硬い土質だらけの「山の下草刈り」だ。

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道の側面に生える草木を、縦横無尽に刈っていく岡崎さん。土、岩すれすれを動かして草だけを効率よく刈る。

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と、こちらに向かってポーズを決めてくれた。良い人だ。

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その上では和田さんが、下地が見えないほど草の生えた部分を刈っている。刃先を大胆に突っ込み、絶妙な加減で動かしていく。なんだか自分の手足のように、自在に操っている。

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見る間に草の山が地面にうず高く積み上がる。

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刃を垂直に当てるという離れ業で作業していた皆谷さん。遠目からは何がどうなっているのかわからないが、確かにシダ類がスパスパと伐り落とされていくのだけがわかった。

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それにしても、重くて振動する機械を手だけで支えているのに、「軽くて無重力のように」「自らの手足のように」なめらかな動きを建設課のプロ達は見せている。僕がやると、あちこちぶつけてしまうのに…なぜだ?

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やがて整備も一段落。鬼ヶ岩屋と五剣山の分岐点である「チョウシノタオ」周辺に着いた。

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先ほどの疑問を投げかけてみた。

 

返答は…

「そんなのは、慣れだ。鍛えるのみ」とのこと。

 

…よし、頑張ります。

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素晴らしい道具は、それを使いこなせて初めて威力を発揮する。鉈を一つとってみても、経験に裏打ちされた技術を垣間見た。僕が彼らのように自在に使いこなせるのはいつになるのやら…

 

そして、まだまだ牟岐にはすごい道具があり、すごい人がいる。

次回は、牟岐の主観産業の漁師を中心に、海の道具、海の人に注目するのでお楽しみに。