静かな出羽島で作る青春時代の思ひ出ボトルシップ

静かな出羽島で作る青春時代の思ひ出ボトルシップ

瓶の中に船の模型が入っている【ボトルシップ】
一見みたら瓶と船のコントラストが相まってなんともかっこいい代物。
けど、よく考えたらこの船どうやって入れたの?と不思議に思えてくる代物でもある。
船乗り時代、休憩時間に暇つぶしで作っていたボトルシップ。
船を下りた今、静かな出羽島で数十年ぶりに作り返し今では島暮らしの中での
暇つぶしだと語る出島さんに逢いにちょっくら渡ってきました。

出羽島へ渡る

以前苔玉の作り方を教えてもらった出羽島に住む出島さんのもう一つの趣味【ボトルシップ】について聞きに行ってきました。
出羽島の出島さん直伝。苔玉作り体験。-苔玉作っちゃいましたー| 六角舎-ヘキシャOLYMPUS DIGITAL CAMERA

ボトルシップって?

帆船などの模型が、その大きさよりも小さい口の瓶(ボトル)の中に入っている工芸作品の事。
約200年前に船乗りが飲み終わった酒瓶と船の中にある材料だけで作ったのが始まりとされている。日本には昭和時期に一般的に広がり、趣味で作る人達が増えたと言われてる。IMG_7004

出島さんとボトルシップとの出逢い

若い頃運搬船の機関士として海の上で仕事をしていた出島さん。
航海中、停泊中と関係なく交代で24時間エンジンルームの機械の運転を監視するのが当時の出島さんの仕事でした。
船での仕事時間は、4時間働き、4時間休憩してからまた4時間働くといったサイクル。
その休憩の4時間の間、じゃぁちょっくら町に行くか!なんて当然出来ないのが船乗り。
仕事場も休憩場ももちろん船の上。
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そこで見つけたのが一本の空き瓶。
ボトルシップの存在も周りではもう広まっていた時期でもあり、もともと手先が器用で物作りが好きだった出島さんは船内にある材料を使って船の模型を作り始めた。
それが出島さんとボトルシップとの出逢いで始まりでした。
それから4時間の休憩中は仲間の機関士も一緒になってボトルシップを作って暇をつぶして過ごしていた。

minami. 「船ん中で作るゆうても材料とか道具どないしとったんですか?」
出島さん 「昔は船の修理とかも船乗りが全部直しよったやろ、そやから船に工具は全具揃っとるし、構い方も解るけぇ使いたい放題よ。細かい作業するようなったら、炊事場にある泡だて器言うんけ?あればれんように1本ずつ拝借して足りんもん作ったりしよったんよな。」

いつからか休憩時間になったら仲間達と使いやすい工具を作りあったり、ああだこうだ言いながら航海中の暇つぶしを楽しんでいた出島さん。DSC_0367

運搬船を降り、出羽島へ帰島

出島さんは約5年間の機関士としての仕事を終え、出羽島に戻り漁師を始め延縄漁を中心に漁を行っていました。漁師をはじめてから約36年経った時に突然病気にかかり島での療養生活が始まりました。
長年乗ってきた船も降り島内でのんびり暮らす生活に。
もともと物作りが好きでじっとしとられない性格の出島さんは、島に戻ってからは一切手をつけていなかった「ボトルシップ」を再び作り始めました。IMG_7015

 

出島さんの工房小屋が、楽しい

出島さん 「船の時に比べたら、道具も時間もいっぱいあってゆっくり作っとるわいね。」
という、出島さんは自らの手で工房小屋も作ってました。
もともと漁師時代に使っていた倉庫を改造。離れの工房小屋なんて素敵すぎるし、羨ましい。
自己満足の世界で私も物を作ったりするのが好きなので、小屋内を見る前からテンションが上がってました。IMG_6916

工房小屋の中。もうサイズ感と広さといい雰囲気がめちゃくちゃいい!メインの机とイスが置いてありここに座って黙々と作業を行っている。基本このイスに座ったら大体の材料や道具が手を伸ばせば取れるとこが出島さんのこだわり所。
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奥の壁には棚も付けて、廃材や主な道具などをしまってる。この照明も素敵。IMG_7005

机の前の壁も道具や材料などがびっしり。船の元になる木材やペンチ系が綺麗に整列してる部分なんか、もうテンションあがりますね。DSC_0421

メインの机の上。
一見みたひとは、ごちゃごちゃしとるわ。なんて思う人もいるかと思いますが。
このごちゃごちゃ感がまたいいんです。なんだか、テンションが上がるんです。ホームセンターの工具コーナーを見ている時のわくわく感的な感じなんです。無意味にイスに座ってみたりしっちゃうんです。解る人にはこの気持ち伝わってるんだろな~IMG_7011

天井から日差しが入ってきて眩しい時は、お母さんの日傘を天井に吊るして日除けにする出島さん。もう発想が素敵。そしてこの小屋にこの日傘のコラボに作業する出島さんの絵が素敵。DSC_0417

とにかくアイディアマンな出島さん

この工房小屋で作られる「ボトルシップ」。
誰に教わるでもなく全て自己流で作り上げるのが出島さん。何十年ぶりに作り返し始めてから、道具もほとんどが手作り。その中でもこだわっているのが、瓶の中で作業をする為の道具。
ボトルシップに欠かせないのがボトル(瓶)。最近の瓶の口は狭くて大体が一緒の大きさらしい。ペットボトルの口の広さとほぼ一緒。
そんな狭い口から作業がしやすいように道具も考えながら作ってるんです。IMG_6920

一部見せてもらっただけでもこの数。
瓶の大きさや仕上げる船の形・瓶の口の大きさに合わせまずはこの道具を作るところから始めるこだわりっぷり。18

こだわりの道具には形も大きさも一緒やん。と思うものがありました。
それがこれ。全部同じじゃない?と素人目では思いますが、一つ一つ違うんです。
というか何に使う道具なのかも解らない。
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使い方の実践もしてくれました。
この道具は瓶の中で紐を結ぶ時に使うもの。
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金具先端にあるくぼみと付け根にあるフックをうまい事使って紐が緩まないように結ぶことが出来るんです。こんな独自のアイディア満載の道具や発想でボトルシップを組みあげていきます。IMG_6944 (2)

ボトルシップが出来るまで

出島さんの作るボトルシップはこうして作られています。
その過程を少しご紹介します。その中にもやっぱりオリジナルの道具がでてきます。
まず使う瓶の高さや口の大きさをはかります。
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はかったサイズに合わせて設計図を書きます。
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設計図をもとに廃材や竹串など身近かにあるものを代用してパーツを作ってきます。11 (1)

こまかい部分を見ると、ビーズなどの材料も使ってたりするんです。28

瓶に入れる船を組み立てて仕上がったのがこの船。まだ瓶の中には入っていません。11 (5)

ここがボトルシップのポイント。
組み立てた船の帆を折り曲げて瓶の中に入れていくんです。
帆柱の付け根は折り畳めるように、U字の金具で設置されているんです。11 (8)

瓶底に船体を固定させてから帆を起こして、瓶を台に固定して、瓶に蓋をすれば完成。11 (16)

ボトルシップの作業工程の話をする出島さんはいっつも楽しそうにいきいきと話してくれます。
少年みたいな笑顔!
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現在の作成途中の作品

出島さんの家にお邪魔した時に丁度作成中の船があると聞いたのでみせてもらいました。
それがこれ。牟岐の60代以上の方には「懐かしいなほれぇ」と思うはず。00 (1)

この写真に写る船に見覚えは?船に書いてある文字を読めば分かるはず。
出羽島に渡る手段である「大生丸」です。現在の大生丸の2つ前に活躍していた前々大生丸です。00 (10)

知り合いの方に頼まれて作り始めたというこの大生丸。
それにしても写真とうり二つ。手本になるのはこの写真1枚だけ。00 (4)

外見だけではなく、船内のこまかい部品も作ってるんです。
これはなんとエンジン。手本は写真だけではなく昔自分も乗っていた時の記憶も便りにしてこだわって作ってるんです。00 (9)

スクリュー部分もしっかり再現。
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救命道具も芸が細かい。
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これは煙突。白の部品は煙突に付いていたマーク。出羽島の【出】の文字。
上の写真をよく見るとしっかり付いてます。
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やっぱり船を作る時の話をする出島さんは少年みたいに楽しそうでした。00 (20)

出島さんは今日も出羽島でボトルシップを作ります。

出羽島で再び作り返してから今までで、約100体以上のボトルシップを作ってきました。
その多くは、気に入ったという方に差し上げてきたんだとか。

出島さん 「こんなもん値段もなんも付けられへんから、気に入ってくれた人にやりよんよ。」
と、言う出島さん。完成作品はひとつひとつ写真に撮って大切に保管していました。その写真を見せてもらいながら、「この船はここが大変だった、かっこいいだろ~」などと思いで話も聞かせてもらいました。
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出島さんにとって完成したボトルシップひとつひとつに思入れがあるんですね。
お体に気を付けながら、これからも作り続けて下さい。IMG_6997

あの小屋で今日も出島さんはボトルシップを作っています。静かな島で

注)出島さんはボトルシップの販売はしていません。

記事を書いた人

minami.
minami.
名前、(アヤコ)でありません。(サイコ)です。日本海は島根産まれの田舎好き。
牟岐での呼び名は(ミナミ)。牟岐では(ミナミ)が本名だと思っとる人のが多いです。
なんとな~くが好き。字を描いたり・海を潜ったり・平日大工したり・動物(主に猫)とじゃれ合ったり。
町をなんとな~く散歩しておじいおばあと井戸端会議で情報収集。担当。
牟岐で撮った色々と自分ぽいを混ぜたもんを見てもらえるやにこつこつやってきます。